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大井川 宏之; 飯島 進; 安藤 真樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(7), p.729 - 735, 2002/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)プルトニウム燃焼用高速炉のナトリウムボイド効果の予測精度を評価することを目的として、FCAにおいてウラン・フリー高速炉を模擬した体系を構築した。比較検討のため、プルトニウム及び炭素ボロンの反応度価値も、ナトリウムボイド反応度価値とともに測定した。プルトニウムサンプル反応度価値の軸方向分布と、4種のB濃縮度に対する炭化ボロンサンプル反応度価値は、いずれも精度良く計算できていることがわかった。ナトリウムボイド反応度価値に関しては、特に非漏洩成分の予測精度が悪いことがわかった。計算と実験の不一致は、ウラン・フリー高速炉における非漏洩成分のエネルギー依存性が特殊であることに起因している。
大井川 宏之; 安藤 真樹; 飯島 進; 高木 直行*; 植松 眞理マリアンヌ*
JAERI-Research 2001-036, 48 Pages, 2001/06
大型高速炉の冷却材循環ポンプ停止時に負の反応度フィードバックを与えることを目的としたガス膨張機構(GEM)の模擬試験を高速炉臨界実験装置FCAにおいて実施した。炉外GEMと炉内GEMについて反応度効果を測定し、計算と比較して予測精度を検討した。炉外GEMでは、構造材である鉄の自己遮蔽効果を適切に評価する必要があることがわかった。決定論的手法では10~20%の過大評価となるが、モンテカルロ法を用いると予測精度を10%以内に改善できることがわかった。炉内GEMでは、中性子ストリーミング効果を考慮できるようなセル均質化法を採用する必要があることがわかった。最小二乗法による成分別予測精度評価の結果、非漏洩成分は10~20%の過大評価であるが、漏洩項は実験誤差の範囲内で実験と計算が一致することが明らかとなった。
竹内 光男; 和田 茂; 高橋 広幸; 林 和彦; 村山 洋二
JAERI-Tech 2000-054, 51 Pages, 2000/09
JRR-3M等の研究用原子炉においては、原子炉の内蔵する過剰反応等を定期的に測定し、制限値内であることを確認することなどにより、安全な運転を維持する運転管理を行っている。原子炉の内蔵する過剰反応度は、制御棒の反応度価値測定結果を用いて算出している。従来の制御棒反応度価値の測定は、炉周期法等により行っている。しかし、定常的な中性子源が存在する場合は、測定誤差が生ずることが考えられる。そこで、定常的な中性子源の影響を考慮した逆動特性法(IK法)による制御棒反応度価値の測定手法を新たに開発した。新たに開発した測定手法を用いることにより、従来手法に比較して測定精度を大きく改善できた。
横山 賢治; 沼田 一幸*; 石川 真; 飯島 進*; 大井川 宏之*
JNC TY9400 2000-006, 162 Pages, 2000/04
高速炉の設計精度の向上を目指して、核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)では、これまでにJUPITER実験解析の結果を反映した統合炉定数を作成し、大型炉心の核設計精度の大幅な向上を達成する見通しを得ている。現在、核燃料サイクル開発機構は引き続き、更なる精度向上と信頼性の確保を目指して、最新の研究成果を反映し、JUPITER実験以外の積分データの整備を進めている。その一環として、サイクル機構と原研は共同研究として、平成9年度から平成11年度にかけて、日本原子力研究所のFCA実験データの整備を行った。これまでに、FCAXVII-1炉心の臨界性、炉中心反応率比、Naボイド反応度価値、238Uドップラ一反応度価値の解析を行っており、本報告書では、サイクル機構の解析手法を用いたFCAX-1炉心の臨界性C/E値の評価、及び、感度解析の結果を報告する。また、FCAXVII-1炉心のNaボイド反応度価値については、原研の解析手法による結果とサイクル機構の解析手法による結果に有意な差が見られていたので、感度解析を用いた詳細な検討を行った。この結果、実効断面積作成手法の違いがNaボイド反応度価値の解析結果に差を与えていたことが分かった。更に、今回整備されたFCA炉心の実験データとこれまでに整備されてきたJUPITER炉心の実験解析を用いた炉定数調整計算を行い、両炉心の実験解析結果の炉物理的整合性評価を行った。
安藤 真樹; 飯島 進; 岡嶋 成晃; 桜井 健; 大井川 宏之
JAERI-Research 2000-017, p.36 - 0, 2000/03
窒化物燃料高速炉の核特性に対する計算精度評価を目的としてFCAを用いた模擬実験を行った。本研究では、臨界性他の特性量に関してFCAの高速炉標準解析手法を用い標準解を求め、その予測精度について検討した。実験は、1領域炉心であるFCA XIX-2炉心において行った。解析の結果、臨界性(k)では従来のFCA炉心での解析結果と同程度の予測精度が得られた。Pu燃料板の径方向反応度価値分布では炉心周辺部ほど過大評価となる傾向となった。Naボイド反応度価値の解析では、炉心中心部において約10~20%の過大評価となり、漏洩項が支配的な炉心周辺部においてC/E値が1に近づいた。輸送補正や非漏洩項の計算精度に問題があると考えられる。
大井川 宏之; 飯島 進; 桜井 健; 岡嶋 成晃; 安藤 真樹; 根本 龍男; 加藤 雄一*; 大杉 俊隆
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(2), p.186 - 201, 2000/02
高速炉用断面積の信頼性評価を目的としたFCA臨界実験に基づくベンチマーク計算問題を提案した。対象とした炉心は、金属燃料高速炉模擬炉心のXVI-1及びXVI-2炉心、並びにMOX燃料高速炉模擬炉心のXVII-1炉心である。計算を行う炉物理パラメータは、臨界性、反応率比、プルトニウム及びBCのサンプル反応度価値、ナトリウムボイド反応度価値、Uのドップラー反応度価値である。簡単な2次元拡散計算を行うだけで実験と計算を比較できるように、均質原子数密度と各種の補正係数を与えた。補正係数の妥当性は計算方法及び使用する核データファイルを変更することにより検証した。
大井川 宏之; 飯島 進; 板東 勝*
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(10), p.902 - 913, 1999/10
被引用回数:2 パーセンタイル:21.18(Nuclear Science & Technology)FCAの金属燃料高速炉模擬炉心において軸方向燃料膨張及び径方向燃料湾曲を模擬し、反応度価値を測定した。実験と計算の比較から、一次摂動理論と厳密摂動理論の双方について適用性を評価した。軸方向燃料膨張に関しては、一次摂動と厳密摂動の双方ともに実験値に対して10~20%小さな値を示すことがわかった。この過小評価の傾向はプルトニウムサンプル反応度価値の軸方向C/E値分布の傾向と一致することを示した。径方向燃料湾曲に関しては、一次摂動は厳密摂動に比べて10%程度大きな値を示すことがわかった。軸方向にみて炉心中央近辺では厳密摂動による計算は実験と良く一致するが、炉心の軸方向端面近辺では10%以上の過小評価となることがわかった。
Hunter
JNC TN9400 99-049, 74 Pages, 1999/04
本報告書は、ロシア・オブニンスク物理エネルギー研究所(IPPE)の臨界実験施設BFS-2において実施されたBFS-58-1-I1実験の測定値に対する解析結果を記載したものである。同実験体系は、Pu燃焼炉としてUが存在しない炉心を構成したものである。測定量は、実効増倍係数、Naボイド反応度価値、物資サンプル反応度価値及び反応率比である。解析における基本核データライブラリは、JENDL-3.2を用いた。種々の物質構成を持つ実験体系各部の実効断面積はSLAROM及びCASUPにより求めた。この際、2次元的な物質配置を1次元非均質モデルで処理するために、3種類のオプションを用いて検討を行った。中性子束分布及び実効増倍係数は、2次元r-z体系で、拡散理論(CITATION)及び輸送理論(TWOTRAN2)を用いて求めた。反応度価値は、直接計算及び厳密摂動計算(拡散計算の場合PERKYを、輸送計算の場合SN-PERTを使用)によって求めた。実験体系仕様及び実験結果の詳細は、ロシアへの委託研究ISTC-220の報告書をベースに、不明点をIPPE技術者から追加入手した。解析結果については、ISTC報告会でIPPE及び仏CEAの結果を入手した。参考のため、本実験値に対するIPPE及び仏CEAによる解析値も記載した。実効増倍係数は、解析値が実験値に対して1.1%k/kk'大きかった。Naボイド反応度価値のC/E値は約1.06だった。これらは実験解析上の誤差を考慮すれば整合性に問題ない結果と考えられる。物質サンプル反応度価値のC/E値は概ね1.11.3の範囲であり、各種反応率比のC/E値は1.0からのずれが大きかった。これらについては、実験解析上の誤差からは合理的な説明ができず、IPPE提示の実験誤差や今回使用した解析モデルの改善等についてさらなる検討が必要である。本実験解析の実施により、Uが存在しない炉心体系における解析精度に関する情報が初めて得られたことに加え、今後推進されるロシアとの研究協力を通じて解析対象とすべきBFS-2臨界実験体系のモデル化に関する知見を蓄積できた。なお、今後の検討に資するため、BFS-58-1-I1実験体系に関するIPPEの提示情報、計算モデル構築上修正する必要性が生じた情報、及び解析用データセットをそれぞれ付録にまとめた。
大後 美道; 山崖 佳昭
PNC TN2410 95-035, 53 Pages, 1995/05
本報告書は、平成7年2月14日にサンケイホールにおいて行われた第11回高速増殖炉研究開発成果報告会にもんじゅ建設所から報告した2件のスライドとオーラルペーパーをまとめたものである。発表テーマ(1)性能試験の現状-高速増殖原型炉もんじゅ-(2)「もんじゅ」の総合的評価の計画
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PNC TJ2222 94-001, 264 Pages, 1994/03
高速原型炉もんじゅの炉心性能試験で実施される制御棒等の反応度価値測定の測定精度を向上させるため、修正中性子源増倍法(以下、MSM法)について中性子輸送計算体系・方法の検討、及び補正係数の作成等を行い、その適用性と精度の検討を実施した。本年度は、前年度の課題である輸送計算の計算境界付近での中性子束計算精度の向上を図り、広範囲の反応度について予測精度評価を行った。さらに検出器応答関数の整備を行い、制御棒パターンや中性子源位置による検出器応答の評価を行った。まず、R体系の方向境界付近での中性子束計算精度の問題に関して、360 R体系では、中性子束の収束誤差を0.1%以下にしないと境界付近の中性子束を数十%も過小評価することがあることが判った。次に、炉内・炉外NIS検出器の応答関数を1次元随伴中性子束計算により詳細に求め、燃料末装荷の炉心およ150体装荷炉心での検出器応答の実測値と比較した。炉内NISでは計算値は過大評価、炉外NISでは過小評価となる傾向があるが、炉心の状態が変わってもその検出器間のC/E値の比はほぼ一定であり、燃料未装荷時の検出器応答の実測値と計算値の比から、燃料装荷時の検出器応答も較正できる可能性があることが判った。これ以前の作業までに開発したMSM法の補正係数計算手法を、燃料装荷段階の未臨界炉心に適用し、反応度の予測を試みた。燃料装荷体数が124体までは、検出器間の反応度予測値のばらつきは小さいが、150体の場合には極端にばらつきが大きくなった。これは、補正係数計算に用いている中性子束分布計算方法の中性子倍増の計算精度に起因するもので、臨界に近づき増倍中性子が検出器応答に占める寄与が大きくなった場合は、基準炉心と対象炉心の反応度の比を実際に近く求められるような中性子束分布計算方法を用いなければならないことが判った。最後に、疑似的な3次元体系である2次元RZ計算と2次元XY計算の比較により、制御棒部分挿入状態の中性子束を2次元XYモデルで精度良く計算する方法について検討し、RZ計算で得た制御棒部分挿入時の実効増倍率を良く再現する2次元XY計算での制御棒領域の体積割合を得た。
大井川 宏之; 岡嶋 成晃; 向山 武彦; 佐藤 邦雄; 菱田 誠; 早野 睦彦*; 工藤 文夫*; 笠原 芳幸*
JAERI-M 94-043, 46 Pages, 1994/03
高速炉の高温でのドップラー効果の予測精度向上に資することを目的として、FCAを用いて2000CまでのUドップラー効果を測定できる装置を開発した。ここでは、1500Cまでの測定に供するサンプル加熱・反応度価値測定法測定装置に関する開発、構造、性能、測定法について述べる。本装置の開発により、従来800C程度までであった温度領域が大幅に広がり、酸化物燃料高速炉の運転時燃料平均温度や最高温度の近辺でのドップラー効果測定ができるようになった。
岡嶋 成晃; 大井川 宏之; 安藤 真樹; 向山 武彦
Proc., Int. Conf. on Nuclear Data for Science and Technology,Vol. 2, 0, p.1009 - 1011, 1994/00
原型炉級MOX-FBR模擬炉心(FCA XVII-1炉心)において、サンプル加熱法(~1500C)と箔加熱法(~2000C)を組合わせて、2000Cまでのドップラー効果測定を行なった。計算は、PEACO-Xを用いて、サンプル加熱法では一次摂動法にて、箔加熱法ではセル計算にて行った。また、核データとして、JENDL-3.1を使用した。実験と計算を比較すると、サンプル加熱法ではC/Eは0.96であり、箔加熱法のC/Eは0.98であった。計算は、実験と良い一致を示した。
佐藤 理*; 窪田 龍太郎*
PNC TJ2222 93-001, 88 Pages, 1993/03
「もんじゅ」炉心性能試験で実施される制御棒等の反応度価値測定に際し、その測定精度を向上させるため、反応度価値測定試験への修正中性子源増倍法(MSM法)の適用を前年度より検討してきた。本年度は、前年度の課題である、MSM法で検出器応答の比から反応度の比を求めるための補正係数の計算精度の向上及び誤差評価を行い、実機での反応度測定の精度向上に資するために以下の検討を行った。(1)固定中性子源問題の解法の検討(2)中性子束計算方法の精度評価(3)MSM法の反応度測定精度の予備検討固定中性子源問題の解法の検討では、補正係数の精度を更に向上させるため、浅い未臨界系を含め、固定中性子源を含む増倍系での中性子東計算方法(収束性)の検討を実施した。固有値計算で得られた中性子束と随伴中性子束を用いて作成した初期中性子分布を用いることにより、従来難しいとされていた浅い未臨界系での固定線源問題が解けることがわかった。この方法を前年度行ったMSM法の適用性検討に用いることにより、補正系数の計算精度の向上を得た。たとえば、比較的深い未臨界度(実効増倍率=0.9671)の体系では、MSM法により予測した反応度と直接計算値との差異が約7.3%から約0.4%に減少した。MSM法の補正係数を計算する場合には、計算体系を分割し、各々の中性子輸送計算を接続させる必要があるので、XY体系とR体系の接続計算による中性子束計算方法の精度の検討を簡単なモデルで行った。
佐藤 理*; 窪田 龍太郎*; 角田 弘和*
PNC TJ2222 92-001, 145 Pages, 1992/03
「もんじゅ」炉心性能試験で実施される制御棒等の反応度価値測定に際し、その測定精度を向上させるため、反応度価値測定試験への修正中性子源増倍法の適用を検討することを目的として、2次元輸送計算法により炉内・炉外中性子検出器の実効線源比、検出効率比および応答比を求めた。DORTコードおよびJSD-J2中性子断面積ライブラリーを用いて、炉内NISおよび炉外NISの検出器応答、検出器効率、および実効線源強度を様々な制御棒挿入パターンについて計算した。従来の中性子源増倍法による反応度測定に較べて、修正中性子源増倍法を用いることにより、制御棒の挿入位置と検出器の位置の関係により反応度測定値が受ける影響を非常に小さくできることが判った。今後、修正中性子源増倍法での深い未臨界系での予測精度を向上するために、固定中性子源を含む増倍系での中性子輸送問題を効率的に解く方法を検討する必要がある。
桜井 健; 岡嶋 成晃; 大杉 俊隆
JAERI-M 91-014, 25 Pages, 1991/02
原研の高速炉臨界実験装置(FCA)を用いて一連の高転換軽水炉模擬実験が行われている。その第1炉心であるFCAXIV-1炉心において、中心セル反応度価値測定により無限増倍率(k)を求める手法(セル反応度価値法)を適用し、炉心セルのkを測定した。さらに、得られたkをバックリング測定によるkと比較した。その結果、これら2つの独立した測定手法によるkは誤差の範囲内でよく一致した。
岡嶋 成晃; 桜井 健; 大杉 俊隆; 大井川 宏之
JAERI-M 90-042, 53 Pages, 1990/03
FCAを用いた一連の高転換軽水炉模擬実験において、反応度価値測定を実施した。測定項目は、核燃料物質および中性子吸収物質の中心サンプル反応度価値と模擬制御棒反応度価値である。これらの測定結果を、JENDL-2とSRACシステムを用いた計算結果と比較した。核燃料物質の中心サンプル反応度価値では、全体に計算が20~25%実験値を過小評価した。中性子吸収物質の中心サンプル反応度価値では、計算は実験値を過小評価するが、B濃縮度によるC/E値への依存性は見られなかった。Hfサンプルの反応度価値のC/E値は、BCのそれよりも全般に小さい値を示した。模擬制御棒反応度価値では、中心サンプル反応度価値での傾向と同様に、計算が実験値を過小に評価した。Hfについても、中心サンプル反応度価値の結果と同様に、BCに比べて、C/E値は小さい値を示した。
飯島 進*; 岡嶋 成晃*; 早瀬 保*
PNC TJ2500 86-002, 126 Pages, 1986/03
高速臨界集合体FCAを用いた大型軸方向非均質炉心模擬実験の一環として,FCA8-1集合体による実験が行われた。FCA保有燃料の制約から,大型炉の全炉心規模の模擬体系は組めないため,部分模擬体系により,軸方向非均質炉心の軸方向核特性と径方向核特性を別々に測定することとした。8-1集合体は径方向核特性を測定するための標準体系であり,軸方向非均質炉心の炉心燃料を模擬したテスト領域を濃縮ウランドライバーで囲んだ,セクター型模擬体系である。実験では臨界特性のほか,軸方向非均質炉心の径方向核特性として反応率分布と反応率比,出力分布,物質反応度価値およびB4C制御棒反応度価値を測定した。実験解析では核データとしてJENDL-2を使用し,原研の高速炉核特性計算コードシステムを用い,計算精度の評価を行った。実験では内部ブランケットにより,その周辺部の中性子スペクトルが変化し径方向出力が平坦化することが観測された。また解析では,U-238を除く核分裂反応率分布において,内部ブランケットでの計算値の過小評価が見られた。
弘田 実弥*
JAERI 1289, 132 Pages, 1984/02
FCAは1967年4月に初回臨界、以来1982年3月までに、35集合体について臨界実験と解析が実施された。これらによる成果としては、「常陽」模擬実験、積分データによる群定数修正に関する研究および高速中性子スペクトロメータの開発が高く評価された。構造材ドロップラー効果、核分裂生成物蓄積効果、軸方向非均質炉心およびアクチノイド断面積の研究は世界的な注目を受けた。さらに「もんじゅ」に対しても大きな貢献がなされた。しかし、半径方向ブランケットにおける反応率分布および反応価値、反射体付き炉心の中心反応度価値、板状/ピン状燃料の非均質効果、炉心中心領域におけるナトリウムボイド効果、構造材ドップラー効果、炉心中性子スペクトル、核分裂生成物蓄積効果、非均質炉心の特性、燃料スランピングによる反応度変化などに、計算と実験間の不一致がなお残っており、解析のための努力が必要である。
弘田 実彌; 中野 正文; 飯島 進; 白方 敬章
Nuclear Science and Engineering, 87, p.252 - 261, 1984/00
被引用回数:2 パーセンタイル:29.96(Nuclear Science & Technology)非均質LMFBR炉心の実験的研究を軸方向に非均質構造をもつFCAVII-3集合体を使用して行なった。これらの集合体に挿入された内部ブランケットは組成、配置および厚さにおいて異なるものである。解析にはJAERI-FastセットVersion IIと2次元(R-Z)拡散コードを使用し、輸送効果を評価するためにS計算を行なった。計算と実験結果の比較によって、固有値と炉心中のPuサンプル価値は均質集合体では良く再現されるが、非均質集合体では過小評価されることが明らかになった。非均質集合体におけるUの捕獲率は、内部ブランケット中では炉心に較べて過小評価されている。非均質および均質集合体間での観測されたNaボイド価値の予測における不一致を解決するためにはさらに研究を行うことが必要である。
吉田 弘幸*; 石黒 幸雄*; 中野 正文*; 稲垣 達敏*; 関 雄次*; 井上 幸太郎*; 鈴木 聖夫*; 加藤 恭義*; 白方 敬章; 池上 哲雄
PNC TN241 84-07, 16 Pages, 1982/10
FBR炉心設計(JUPITER)専門委員会の中に標題の検討を目的とした軸非均質炉心実験検討ワーキング・グループを設立し,1982年7月から10月にかけて4回の検討会を開催した。本グループは軸方向非均質炉心に対する炉物理実験の必要性,この炉心概念の炉物理的特徴に着目した模擬実験に関する議論を行ない,一応の結論を得たのでここに報告する。本ワーキング・グループは炉心概念の優劣を議論し,決定する場ではなく,明確かつ決定的な次点の指摘がないかぎり,模擬実験の意義づけと実験内容に議論を集中する立場をとった。1000MWe級高速増殖炉の設計例による均質炉心,径方向非均質炉心,軸方向非均質炉心の比較検討によると,軸方向非均質炉心は,比較的単純な炉心構成によって,適切な増殖性と高い安全性を確保する可能性を有し,均質炉心,径方向非均質炉心と比肩できる炉心概念である。軸方向非均質炉心は,内部ブランケットが炉心によって囲まれた形状を有し,内部ブランケットの軸方向および径方向の広がりの双方によって炉心結合度に影響を及ぼす。したがって,内部ブランケットの寸法,形状が出力分布,反応度価値分布に影響を及ぼす可能性が大きい。更に,炉心が内部ブランケットによって分離されていることにより,特に,制御棒部分挿入時の種々炉物理特性はこの炉心概念に特徴的なものとなる可能性が大きい。均質炉心に対するJUPITER-I,径方向非均質炉心に対するJUPITER-IIの実験とその解析によって解決する点も多々あると考えられるが,大型炉心に関する軸方向非均質炉心の炉物理実験は未だ行なわれていないので,上述軸方向非均質炉心の炉物理的特徴を考慮した模擬実験を行なう必要がある。